馬名

ワグネリアン

ダービー馬の秋始動戦といえばここが定番。ワグネリアンが神戸新聞杯に出走する。 WagnerianはWagner+―ianで接尾辞―ianは「出身、関連、所属」などを付加する。Wagnerはドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーのことで、つまりワグネリアンとは「ワーグナー…

サトノワルキューレ

フローラSを勝った時の末脚が鮮烈。サトノワルキューレがローズSでまた大輪を咲かすか。 Warkureはドイツ語で、北欧神話の戦(いくさ)乙女のこと。14世紀以前にスカンディナヴィアで使われた古ノルド語Valkyrjaが語源。英語ではValkyrie(ヴァルキリー)…

メサルティム

紫苑Sにメサルティム(牝3=荒川)が出走。この馬名は母ピンクアリエスからの連想だ。Ariesは「おひつじ座」。生まれは母が3月22日、娘は3月24日。いずれも「おひつじ座」となるが、Mesarthimはおひつじ座γ星の固有名。星図「ウラノメトリア」を記したヨ…

カシノティーダ

小倉2歳Sは夏競馬の締めくくりだが、晩夏の折りになお暑さは緩まない。猛暑日が日常的だった今夏を象徴する馬名がカシノティーダ(牝2=田所)だ。 ティーダは沖縄や奄美の言葉で「太陽」。未勝利の身でひまわり賞(ひまわり=sunflower=太陽の花)を勝…

トゥラヴェスーラ

スプリント界に新星誕生なるか。トゥラヴェスーラ(牡3=高橋康)がキーンランドCで古馬に挑戦する。 Travesuraはスペイン語で「いたずら」。語源はラテン語transverto(横切る、向きを変える)で、この動詞からは多くの派生語がある。たとえばイタリア語…

マイスタイル

風を切るこの走りこそマイスタイル。「逃げ」の戦法を確立させて連勝中のマイスタイル(牡4=昆)が札幌記念に挑む。 My Styleは「私の流儀」、「私の生き方」。Styleの語源はラテン語stilusで、意味は「尖筆」。ローマ時代には蝋版に字を書くためとがった…

エイシンティンクル

2連勝の勢いを駆ってエイシンティンクル(牝5=坂口正)が関屋記念で重賞初制覇を狙う。 兄がエイシンヒカリなので、「光」→「輝く」→「キラキラ」→Twinkle(きらめき、キラキラした輝き)と連想がつながる。Twinkleといえば"Twinkle, Twinkle, Little Sta…

アルクトス

馬なのに豹(ヒョウ=Leopard)とはこれいかに…なレパードSだが、ここに熊が出走する。前走で「猪」苗代特別を勝ったアルクトス(牡3=栗田徹)だ。 ΑΡΚΤΟΣはギリシャ語で「熊」。ギリシャ神話に、ゼウスに懸想されたせいで、熊にされてしまった乙女カリス…

モルフェオルフェ

500万を勝ったばかりだが、モルフェオルフェ(牝3=大江原)がアイビスSDに登録。 モルフェは冠名で、ギリシャ語μορφη (形)のことか。オルフェは父名オルフェーヴルの一部。なおOrfevreはOr(金)+fevre(ラテン語faber=「職人」からの変化)なの…

フランス関連馬名

サッカーW杯ロシア大会はフランスが優勝。安易だが中京記念でフランス関連の馬の好走を期待。 昨年勝ち馬ウインガニオンはGagnantがフランス語で「勝者」。ロワアブソリュー(Roi Absolu)の馬名もフランス語で「絶対的な王」。絶対王政におけるフランス王…

マイネルハニー

混戦模様の函館記念。マイネルハニー(牡5=栗田博)にもチャンスはあるはずだ。 古今に「ハニー」のつく馬名は珍しくないが、圧倒的に牝馬が多い。マイネルハニーも母ブライアンハニー、祖母ハスキーハニーと母方の名を受け継いだもの。Honeyの第一義は「…

ウインムート

オープン2連勝と充実一途のウインムート(牡5=加用)がプロキオンSに出走する。 Mutはドイツ語で「勇気」。古高ドイツ語のmout、さらにゲルマン祖語までさかのぼり、同根から派生した単語に英語のmoodがある。ゲルマン祖語の語源には「心、勇気」の意味…

カツゲキキトキト

大井の帝王賞に名古屋競馬からカツゲキキトキト(牡5=錦見勇)が出走。東海一の弓取りとして君臨。交流重賞でも【0135】。2着は17年白山大賞典。インカンテーションに続いたものだ。強敵相手の帝王賞でも奮戦を期待したい。 カツゲキは冠名。「きとき…

ワーザー

香港の実力馬ワーザー(セン7=Jムーア)が宝塚記念に出走。同レースへの外国馬の出走は97年セトステイヤー以来、21年ぶり。 この馬、当初「ウェルテル」と表記されていた。Wertherはドイツ語でウェルテル、英語読みだとワーザーになるが、ニュージーラン…

ルヴァンスレーヴ

風立ちぬ、いざ生きめやも――。人口に膾炙したこの一節は、堀辰雄の「風立ちぬ」序曲に出てくる。元は小説の冒頭に引用したフランスの詩人ポール・ヴァレリーの詩「海辺の墓地」にある"Le vent se leve, il faut tenter de vivre."を堀が訳したもの。そう、ユ…

ダイワキャグニー

エプソムのダービーにディープインパクト産駒サクソンウォリアーが出走(4着)。グンと日本になじみが出たエプソムと東京競馬場は姉妹提携している。提携記念のエプソムCに東京巧者ダイワキャグニー(牡4=菊沢)が出走。 キャグニーは人名。最も著名なの…

安田紀念賽香港名

アエロリット 太空隕石 ウインガニオン 勝者行 ウエスタンエクスプレス 西方快車 キャンベルジュニア 唱作人 サトノアレス 里見武神 サングレーザー 白日彗星 スターオブペルシャ 波斯蔥 スワーヴリチャード 文雅之士 ダッシンブブレイズ 疾飛猛火 タワーオ…

ステイフーリッシュ

05年、当時アップルコンピューターとピクサーアニメーションスタジオのCEOだったスティーブ・ジョブスがスタンフォード大学の卒業式でスピーチをした。生い立ちから成功と挫折、愛と死について語り、「他人の考え、ドグマにはまることなかれ。自らの心と…

アーモンドアイ

2冠を目指してアーモンドアイがオークスに出走する。 Almond eyeは「アーモンドの形をした目」。almondという単語はギリシャ語αμυγδαληが語源。ラテン語amygdalaから派生する際、同じ語頭の中世ラテン語amandus(かわいい)の影響から、古フランス語でamand…

ワントゥワン

ヴィクトリアMは阪神牝馬Sの再戦。1〜5、8〜13着馬が出走予定。となると阪神牝馬S12着のワントゥワンが今回人気がないのは当然で…。 One to oneは辞書的には「1対1に対応する」の意味で、数学用語でもある。たとえば偶数2nの集合Aと奇数2n+1…

ケイアイノーテック

キャリア5戦がすべてマイル戦。一度も掲示板を外したことがない戦績で、同世代トップクラスの実力馬ケイアイノーテックはNHKマイルCで好勝負必至とみた。 Nautiqueはフランス語。「船の」が原義。ski nautiqueが「水上スキー」、sports nautiquesが「マ…

アルアイン、ダンビュライト

香港クイーンエリザベスⅡ世Cは12年に統治地位(ルーラーシップ)、昨年は新寫實派(ネオリアリズム)が優勝。今年も日本馬が2頭出走。 アルアインの香港名は「艾恩遺跡」。艾の発音は「アイ」、恩は「エン」。アルアイン→アイエン。発音を似せようとしたと…

ノームコア

この馬名は興味深い。フローラSに出走予定のノームコア(牝3=萩原)だ。 Normcoreはまだ一般的な辞書には載っていない合成語。発祥というか流布したのは2014年のファッション業界で、語源は「Normal(標準)+Hardcore」。ハードコアというとパンクロック…

ジャンダルム

混戦模様の皐月賞。ホープフルS2着、弥生賞3着のジャンダルム(牡3=池江)はチャンスの大きい1頭だ。 Gendarmeはフランス語。もとはGen d'arme(武装者)で、歴史的には中近世フランスのランスを携え板金鎧をまとった騎士。治安維持を任務としたため、…

マウレア

姉妹による桜花賞制覇なるか。マウレアは13年の桜の女王アユサンの全妹。 この馬名はハワイ語。ハワイ語は一単語がわりと多義的。マウは「いつも、続いて、永続的に、絶え間なく」などで、意味の核は「(時間が)継続している」こと。レアは「楽しみ、幸せ、…

アイダホ

名馬ハイランドリールの全弟アイダホがドバイシーマCに出走。兄はこのレース4、7着。弟が敵を討てるか。 Idahoは米国北西部の州名。「いたずらでつけられた州名」だ。1860年代前半、ロッキー山脈近くの「新領土」を名づける際、鉱山ロビイストが「ショシ…

高松宮記念出走馬の香港名

キングハート 王心浩瀚 シャイニングレイ 光亮利驥 ジューヌエコール 小型艦 スノードラゴン 瑞草祥龍 セイウンコウセイ 特色星雲 ダイアナヘイロー 天麗光輝 ダンスディレクター舞蹈總監 ナックビーナス 純美化身 ネロ 暴君尼祿 ノボバカラ 由零開始 ファイ…

サトノソルタス

皐月賞戦線は、弥生賞を完勝したダノンプレミアムがトップランナー。スプリングSでハイレベルと目される弥生賞上位馬に肩を並べる馬は出てくるか。可能性があるとすれば、キャリアが浅く伸びしろが大きい馬。たとえばサトノソルタス。 Saltusは「飛躍、跳躍…

メートルダール

サトノダイヤモンドもスワーヴリチャードも初中京。ならば金鯱賞と同じ中京芝2000mの中日新聞杯を制したメートルダールが大物食いか。 Maître d'Artはフランス語。英語に直訳すればArt Masterで、つまり「芸術の巨匠」。1994年にフランスで日本の人間国宝を…

サラキア

1戦1勝のサラキアがチューリップ賞に挑む。一気にクラシックの最前線に立てるか。 ボトムラインがサロミナ〜サルデンティゲリン〜サルデと代々イニシャル「S」が受け継がれており、9代母がシュバルツゴルト。ブエナビスタ、マンハッタンカフェ、ソウルス…