英国際S

 英インターナショナルSに出走するエラーカムは馬主がシェイク・ハムダン。この馬名はアラビア語で、たぶん「数字」だと思う。父フランケル(G1・10勝)、母アトラクション(G1・5勝)と派手な数字が並ぶベストトゥベストな配合。キングオブコメディは「喜劇王」。ロバート・デニーロが主演した映画の題名でもある。サンダリングブルーは「青いイナズマ」? でも芦毛。かわいいので人気がある。サーカスマキシマスはラテン語Circus Maximus(キルクス・マキシムス、意味は「最大の競技場」)の英語読みで、ローマの遺跡である戦車競技場跡(チルコ・マッシモ)のこと。あとジャパンだが英国産。

 

フィエールマン

 今年の札幌記念凱旋門賞への壮行レース。といっても、遠征を予定している馬が好走してこそだが。そんな1頭、フィエールマン(牡4=手塚)は父ディープインパクト凱旋門賞3着入線のち失格)、母リュヌドール(フランス産)、鞍上ルメール(フランス人)、そして馬名もフランス語。フランスで大仕事をして、父の雪辱を果たすのにふさわしい存在。Fierementは「勇敢に、誇らしげに、堂々と」。英訳するとproudlyが近いが、proudがラテン語prode(役立つ、有益な)を語源とするのに対し、fierはラテン語ferus(野性の、荒々しい)が語源。大レースで見せる勝負強さは、潜在的な野生の激しさに由来するのか。

 

トミケンキルカス

 先日の小倉記念は猛暑のなかメールドグラース(フランス語で「氷の海」)という涼しげな馬名が勝った。サマー重賞では、せめて馬名に涼を求める戦略でいきたい。関屋記念も暑い。トミケンキルカス(牡7=大和田)だ。

 冠名トミケンは馬名にマイナー諸語をつけることで馬名界では知られている。最近の活躍馬でトミケンスラーヴァのSlavaはチェコ語で「栄光」。キルカスはフィンランド語。同国首都ヘルシンキもいま夏だが最高気温20度、最低11度。晩秋かよ。Kirkasは「輝いている、明るい、雲ひとつなく晴れている、明確な」で、重賞初挑戦の晴れ舞台はキルカスでアツくなりそうだ。

 

小倉記念・氷トリプル

 小倉記念はナツコク(夏の小倉開催)名物重賞であり、年によってはその暑さたるや筆舌に尽くしがたいレースの一つだが、めっぽう涼やかな馬名の3頭がエントリーしてきた。

 アイスストーム(Ice Srorm=氷の嵐)…冬に吹く氷晶雨(雲の中で作られた氷の結晶を含む雨)を伴った嵐のこと。アイスバブル(Ice Bubble=氷の泡)…冬のアブラハム湖(カナダ)で、湖に生息する植物が発生するメタンガスが、湖面に上がる途中に凍りついてできる凍結気泡のこと。メールドグラース(Mer de Glace=フランス語で「氷の海」)…アルプス山脈モンブラン北壁にある氷河のこと。今年の小倉記念は氷トリプルで決まり!

 

ヴァルトガイスト

 英国アスコットのキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに、フランスからヴァルトガイスト(牡5=ファーブル)が遠征する。ハーツクライが3着した06年ハリケーンラン以来のフランス馬によるKGQES制覇を目指す。

 母は英国産ながら、さかのぼると代々イニシャルWを受け継ぐドイツ牝系。なので馬名もヴァルトレルシェとドイツ語の名前。「モリヒバリ」のことだと思う。その息子は父に愛国の英雄ガリレオを配され、Waldgeistと名づけられた。「森の精霊」だろう。日本産ながらCheval Grand(偉大な馬)とフランス語の名がついたシュヴァルグランと2頭軸でどうか。

パフェムリ

 函館2歳S出走のパフェムリ(牝2=岡田)は「甘いものが苦手でパフェは無理」にしか見えないが、そうではない。この馬名はフランス語のParfumerieで、母タイヨウパフューム(Perfume=香水)からの連想。「香水専門店」の意味。「パフューメリー」とした方が分かりやすかったと思うし、字面も当世風になった気がする。パフェムリは実際の発音にそれなりに近いが。-erieは「~の店」という接尾辞。Parfumの語源はラテン語の接頭辞per-(通り抜けて)+fumareとなる。fumareの英訳にはsmoke(煙を立てる)やvapour(蒸気を出す)が充てられるので、パフェムリ+レッドヴェイパーで香気立つ馬券となる算段だ。

 

ミューチャリー

 帝王賞ではチュウワウィザードをプッシュして2着。ジャパンダートダービーでは、取り上げる機会が少ない地方馬のミューチャリー(牡3=船橋・矢野義)を◎として、この馬名について解説する。

 Mutuallyの意味は「相互に、互恵的に」。競馬ほかギャンブルの配当決定方式であるパリミュチュエル(Pari-mutuel)とか、米国の投資信託(Mutual Fund)とか、ミューチャリーに関連する単語には、そこはかとなくお金のにおいがするものがある。ヒカリオーソとは4回対戦してうち3回で連続する着順(ワンツー2回)。ミューチャリー・コンパチブル(気脈を通じる)な間柄とみて④②2頭軸マルチで。