クエルクス・キウィーリス
いささか周回遅れの話ですが、ウマ娘でエアグルーヴが花嫁になって、キャッチフレーズ?がクエルクス・キウィーリス(QUERCUS CIVILIS)とか。創作ものにラテン語が出てくるのは珍しくありませんが、発音もわりと忠実で感心しました。civilisをシビリスとかキビリスとか読まないだけでも多少なりともラテン語の知識があるか、ちゃんと調べるかしないといけませんものね。長母音に忠実ならキーウィーリスでしょうけど、まあそこまでは。直訳「市民のオーク」で、ローマ市民を救ったローマ市民(実際はもうちょっといろいろありますが)に与えられるオークで編まれた冠。たいへんな栄誉。
エアグルーヴの現役時代は取材したことないのですが、別の厩舎ですが娘のアドマイヤグルーヴが出てきて活躍したとき、エアグルーヴを管理した伊藤雄二調教師に母の話を何度も聞いたものです。
アドマイヤグルーヴのラストランはマイルの阪神牝馬S。相手にはその年の桜花賞馬ラインクラフトがいてそちらが人気だったんですが、このときアドマイヤグルーヴ陣営が随分、自信満々でした。「最後だからマイルで思う存分走れる」「掛かっていくけどマイルだから」みたいな。圧勝でラストランを飾りました。
のちに、年が明けたぐらいですかね、このラストランVについて、伊藤雄二調教師と話をしました。「マイルで強いと思っていたよ」と。
興が乗ったので、こちらも「お母さん(エアグルーヴ)も、そういう感じでしたよね?」
伊「そうや」
――マイルのG1でも見たかった気もします
伊「勝てたやろな。ただマイルを1回使うと、距離を戻すことは難しかったんや、あの馬は。娘(アドマイヤグルーヴ)もそうちゃうかな」
――気性的なものですか?
伊「それもある。いろいろな。二千以上で使いたいレースも多かったしな」
伊藤雄二先生は玄妙なるストーリーテラーだったので、この取材というか会話もこちらの言ってほしいことを言ってくれたのかもしれません。20年以上前のことですが、はっきり覚えています。
で、「ウマ娘」ではエアグルーヴはマイルや短距離で運用することも多いんですって?
雄二先生、後世のファンはエアグルーヴの本質を分かっているみたいです!