2012-01-01から1年間の記事一覧

ナカヤマナイト

有馬記念にふさわしい馬名かもしれない。中山競馬場にナカヤマナイト(牡4=二ノ宮)が颯爽と登場だ。 ナカヤマは冠名。Knightは「騎士」。筆者が学生時代、英語史の授業で学んだ中世英語(ミドル・イングリッシュ)ではknightを「クニヒト」と…

ザラストロ

ザラストロ(牡2=武藤)は東スポ杯2歳S12着から朝日杯FSへ。 Sarastroはモーツァルト作曲の歌劇『魔笛』に登場する神官。実像とは全然関係ないが、モデルはZarathustra(ツァラトゥストラ)で、発音上の近似が分かると思う。ツァラ…

スリーボストン

スリーボストン(牡5=藤岡範)がカペラSに挑む。目指せ重賞V。 永井商事の馬は例外もあるが冠名スリー。命名法は冠名+「父名、母名、両親名から連想、ありふれた名詞」で素っ気なさは一貫する。この馬も「冠名+父ボストンハーバーの名の一部」だ。 そ…

ハタノヴァンクール

JCダートの前哨戦みやこSでハタノヴァンクール(牡3=昆)は10着と完敗。果たして本番で巻き返しなるか。 Vainqueurはフランス語で「勝利者、征服者」あるいは形容詞の「勝利を得た」。動詞vaincre(ヴァンクル)+「〜する者」の接尾辞…

ジャッカルベリー

ジャパンC出走ジャッカルベリー(牡6=英国・ボッティ)は根っからの国際派。生産は愛国、デビューはイタリア、現在の調教国は英国で、香港、ドバイ、米国、豪州に遠征経験あり。日本は6カ国目の出走となる。 Jakkalberryはアフリカに自生する…

ガルボ

マイルCSにガルボ(牡5=清水英)が出走。重賞3勝の一流マイラーだが、いまだに牡馬であることに違和感がなくもないのはどうしてか。 いわずもがなGarboという馬名が伝説のハリウッド女優の芸名でもあるから。この馬名の由来はイタリア語のgarb…

ヴァンフレーシュ

未勝利→カンナSを連勝したヴァンフレーシュ(牝2=高橋文)が京王杯2歳Sに挑む。 Vent Flecheはフランス語。英語ならWind Arrow、つまり「風の矢」だ。サクラバクシンオー産駒の快足馬にふさわしい名で、また名にし負うスピードの持…

エイシンラトゥナ

エイシンラトゥナ(牝2=松元)は新設重賞アルテミスSの有力馬。秋天Vで勢いある冠名エイシンの素質馬だ。 ラトゥナはシンハラ語(スリランカの公用語)で「宝石」。さかのぼるとサンスクリットの「ラー(=与える、贈る)」からラトゥナという単語が派生…

トランスワープ

トランスワープ(騸7=萩原)が秋天に挑む。 Transwarpは造語。trans―は「〜を超越して」の意味の接頭辞。warpは「ゆがみ、ねじれ」だがSFに出てくる「ワープ」=超光速の時空超越移動。宇宙空間で時空を歪曲させて超光速の移動をする…

ロードアクレイム

ロードアクレイム(牡3=藤原英)は両親ともクラシック馬の好配合。神戸新聞杯2着で優先出走権を得て、堂々と菊花賞に臨む。 Lordは馬主ロードホースクラブの冠名だが、「君主、支配者」の意味がある。Acclaimは「熱狂的に称賛する、喝采して認…

チェリーメドゥーサ

前走・白井特別の一気マクリが印象的なチェリーメドゥーサ(牝3=小西)が秋華賞に出走。 チェリーは冠名。馬主が「櫻」井氏ゆえ。メドゥーサはギリシャ神話のμεδουσα―頭髪がヘビで、見た者を石に変える瞳を持つ怪物。語源はμεδω(メドー=守る、支配する)…

スクワドロン

デイリー杯2歳Sにスクワドロン(牡2)が出陣。橋口厩舎はこのレース、過去4勝の好相性。 Squadronは軍事用語だ。Squadraがイタリア語の「歩兵隊」で、語尾に指大辞(大きいことを表す接尾辞)―oneがついてSquadrone、これが…

キャプテンオブヴィアス

スプリンターズSにシンガポールからキャプテンオブヴィアス(セン7=バリッジ)が来日。 Captain Obviousとは「言うまでもない船長」みたいな感じ。「そりゃそうだ隊長」とか「明白番長」でもいい。わかりきったことをわざわざ指摘する人に…

ダイワファルコン

かつてのトーアファルコン(1988年CBC賞勝ち、父ファルコン)から近年のスマートファルコン、ビービーファルコンなど、冠名の後ろにつける名称ではメジャーな「ファルコン」。オールカマーはダイワファルコン(牡5=上原)の出番だ。 Falconは英語…

ディープインパクト産駒に栗毛のいない理由

もしかしたら意外に知られていないかも。ディープインパクト産駒の毛色の話を。あるとき「ディープ産駒に栗毛はいませんからね」と筆者が言ったら、「なんで?」と尋ねられたので解説。 ◇ ◇ ◇ 2012年8月末までJRAに登録されたディープインパクト産駒…

エタンダール

セントライト記念に出走するエタンダール(牡3=藤原英)は、ディープインパクト×母の父モンジュー。この配合を見れば長丁場でいいのは旗幟鮮明。 Etendardはフランス語で「軍旗」。あまり耳慣れないが、この語と同根の英語は誰もが知っている。S…

トラスティー

中山のアスター賞に出走するトラスティー(牡2=萩原)に注目。 Trustyは見た通りtrust(信用、信頼)から派生した単語。−yは「〜の性質を持つ、〜に満ちた」の意味を付加する接尾辞だ。つまり「信ずるに値する」という語義で、たとえば国王が…

トルークマクト

小倉2歳Sはトルークマクト(牡2=尾関)に注目しよう。 toruk maktoとは、映画『アバター』に登場する青い人たち(ナヴィ)が話す言語で「トルークの乗り手」。J・キャメロン監督は凝り性で、映画の架空の人種ナヴィのため言語学者に依頼して…

ショウナンアンカー

最終週でない新潟2歳Sにちょっと違和感はあるが、悪くない変更。ともあれショウナンアンカー(牡2=北出)が新馬→重賞の2連勝を狙う。 ショウナンという冠名には「ア行」が続く。これはもうお約束で、今年の2歳も全馬「ア行」。Anchorの第一義は…

ツルマルレオン

北九州記念はツルマルレオン(牡4=橋口)に注目したい。 冠名ツルマルの馬名はあまりひねらない印象。なにせ代表産駒がツルマルボーイ、その母ツルマルガールだもの。この馬も馬名の説明は「冠名+人名」で素っ気ないが、その気なら深読みは可能だ。Leo…

サトノパンサー

釜山Sは少頭数だが興味深いメンバー。サトノパンサー(牡4=南井)が有力馬の一翼だ。 パンサーは「豹(ヒョウ)」。Pantherの語源はギリシャ語で「ぶちのあるネコ科の動物」を示したπανθηρ(パンテール)。音韻的にはサンスクリットpundari…

ワルキューレ

相当キャリアのある馬なので今さらだが、小倉記念でもしかしたらもしかしそうなワルキューレ(牝8=佐山)に注目しておこう。 Walküreはドイツ語で、ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指輪』第1日の題名。その3幕の序奏『ワルキューレの騎行』を聞…

ラブフール

ラブフール(牝5=梅田智)がクイーンSに格上挑戦。ベストの千八ならまんざらでも。 <Lovefool>と言えばカーディガンズのヒット曲(96年)でしょ。ニーナ・パーションが「ラブミー、ラブミー、セイザッチュラブミー」とアンニュイに歌ったのを…

ナイアード

快足ぞろいアイビスSDはハナ争いが楽しみ。ナイアード(牝6=粕谷)なら<通過順に1しかない男>エーシンダックマンの機先を制するか? Naiadはギリシャ神話の「水のニンフ(少女の姿をした妖精)」のこと。ギリシャ語ではΝΑΙΑΣ(ナイアス)で、川…

ローガンサファイア

函館2歳S出走のローガンサファイア(牝2=佐々木)に注目したい。 この馬名は母名ダークサファイアからの連想。Logan Sapphireは著名なサファイアの名称だ。カットされたブルーサファイアでは世界2番目の大きさという423カラット(85…

エクスペディション

福島競馬場へ長駆(というほどでもないが)遠征。七夕賞でエクスペディション(牡5=石坂)が重賞初Vを期す。 Expeditionは「遠征」。「急速」の意味もある。語源はラテン語のExpedioで、ex―は「外す」、pedは「足」。原義は「足かせ…

ウイングドウィール

ラジオNIKKEI賞は紅一点ウイングドウィール(牝3=宗像)に注目。祖母エアウイングス〜母ウイングレットから連なる「Wing=翼」つながりの馬名だ。この牝系は重賞で結構穴を出している。 Winged Wheelは「有翼の車輪」。この組み合わ…

アーネストリー

宝塚記念連覇を狙ってアーネストリー(牡7=佐々木)がいざ出陣だ。 Earnestlyは「まじめに、本気で」。語尾の〜lyは副詞の接尾辞。Earnestはなかなか含蓄に富む単語で、語源は古ノルド語ern(=元気、活気)と同根。ゲルマン祖語にも同義の*ernという単語…

グルヴェイグ

格上挑戦でも注目度断然、マーメイドSのグルヴェイグ(牝4=角居)は1番人気必至だ。 Gullveigは昔の北欧で使われた古ノルド語。Gullは「黄金」、veigは「力、強い酒」。つまり「黄金の力、黄金の酩酊酒」の意味。またveigは「神秘的…

ダノンスパシーバ

エプソムC出走のダノンスパシーバ(牡5=佐々木)がそろそろ。 ダノンは冠名。スパシーバ(キリル文字Спасибо)はロシア語で「ありがとう」。語源的にはСпаси (вас/тебя) Богの短縮という説が一般的で「(あなたに)神のご加護があらんことを/神よお守…