2010-01-01から1年間の記事一覧

有馬記念出走馬の馬名意味(後半)

ダノンシャンティ=冠名+フランスの競馬場、調教場の名称。シャンティはパリから北へ40㎞。欧州随一の「馬の都」として知られ、仏ダービーを開催。欧州へ羽ばたく馬名だ。 エイシンフラッシュ=冠名+英語で「閃光」。母ムーンレディ(月の淑女)から放たれ…

有馬記念出走馬の馬名意味(前半)

ヴィクトワールピサ=フランス語で「勝利」+冠名。近代絵画の父ポール・セザンヌが描いたサント・ヴィクトワール山から着想を得た馬名。その描写は神秘的でどこまでも奥深い。 ネヴァブション=冠名+フランス語で「ボトルのコルク」だが、馬を磨く「ワラの…

ルーラーシップ

いよいよ有馬記念。本格化気配漂うルーラーシップ(牡3=角居)が一気に上り詰めるか。 Rulershipは「支配者の位、統治権」の意味。いささか気負った壮大な名前だが、父キングカメハメハ×母エアグルーヴという本邦で考え得る最高ランクの配合には…

ロビンフット

さる12月10日、1本の映画が封切られた。大げさな戦闘シーンを撮らせたら右に出る者なしのリドリー・スコット監督、カッコイイけど暑苦しいラッセル・クロウ主演の『ロビン・フッド』だ。 つまり朝日杯もロビンフット(牡2=堀井)のヒットは確実?ロビンは…

ホエールキャプチャ

阪神JFに出走するホエールキャプチャ(牝2=田中清)が、2歳G1獲りに出航だ。 Whale Captureは「鯨の捕獲」。つまり「捕鯨」のことだ。父クロフネからの連想。1853年「黒船来航」は開国と条約締結を求めたものだが、当時世界最大の捕…

キングスエンブレム

キングスエンブレム(牡5=石坂)が、JCダートで偉大な兄ヴァーミリアンと直接対決だ。 King’s Emblemは「王の紋章」。父ウォーエンブレムの名前の一部を受け継いだもの。ちなみに「〜エンブレム」という名のウォーエンブレム産駒はなかなか優…

フィフティープルーフ

今年のジャパンカップは海外成分多め。カナダからはウッドバイン競馬場の逃げ馬フィフティープルーフ(セン4=ブラック)が参戦する。 Fiftyは50。Proofは「証明、証拠、証言」などの意味があるが、この馬名はシンプルに「50°」が正解。プルーフ…

サプレザ

フランスのGⅠ馬サプレザ(牝5=コレ)が今年もマイルCSで来日。昨年の3着以上を期す。 Sahpresaという馬名に意味はない。海外でよくある父と母の名を合わせたもの。Sah―は父Sahmから。父の名は、その母Salsabil(スノーフェアリ…

アーヴェイ、スノーフェアリー

エリザベス女王杯に外国馬2頭が参戦。カナダのアーヴェイ(牝4=アトフィールド)は前走フラワーボウル招待Sでレッドディザイアを撃破。つづりはAve。思わずアベと読んでしまいそうだが、ラテン語のあいさつの言葉だ。もとは「健やかなれ」ぐらいの意…

マイネイサベル

2歳ステークスを制し新潟女王に輝いたマイネイサベル(牝2=水野)が、ファンタジーSに向けて西下する。今年2歳が初年度産駒の父テレグノシスに重賞Vをプレゼントした孝行娘だ。 Isabelはメジャーな女子名だが、この馬は母がマイネレジーナ。Re…

アクシオン

サンデーサイレンス産駒「最後の大物」となることを期待しよう。天皇賞・秋に出走するアクシオン(牡7=二ノ宮)は2010年、SS産駒唯一の勝利(中山金杯)を挙げている馬。 Axionとは、量子力学における仮説の素粒子のこと。ややこしい説明はパス…

コスモラピュタ

中山で2連勝した生粋の逃げ馬コスモラピュタ(牡3=高橋祥)が菊花賞に登録している。 コスモは冠名。Laputaは『ガリヴァー旅行記』に出てくる空飛ぶ島のこと。その島民はみな科学者で、現実離れした空想ばかりしている。風刺文学である『ガリヴァー…

ディアアレトゥーサ

紫苑S勝ち馬ディアアレトゥーサ(牝3=畠山吉)が秋華賞に臨む。 ディアは冠名。Αρεθουσαはギリシャ神話に登場する泉のニンフ(少女姿の妖精)。「warterer」の意味があるようで、古代ギリシャ各地に同名の泉がある。 神話を引く。アレトゥーサはもとは狩…

プロヴィナージュ

プロヴィナージュ(牝5=小島茂)が京都大賞典に出走予定だ。 Provignageとは、ブドウの樹の繁殖方法のこと。ブドウはツル性低木なので、親木とつなげたまま新梢を地中に埋めると根を張る。そこから子木を取って増やす方法だ。19世紀にフィロキセ…

サンカルロ

スプリンターズSにサンカルロ(牡4=大久保洋)が出走する。San Calroはナポリの歌劇場「Teatro di San Carlo」の一部を取って名前とした。母Diva(=歌姫)からの連想だ。 その由来と別に、こんな話を漏れ聞いた。カルロ=「…

ワイズミューラー

長丁場で2連勝中のワイズミューラー(牡3=大久保龍)が九十九里特別に出走する。 Weissmullerは米国の水泳選手ジョニー・ワイズミューラーのこと。1924年パリ五輪と28年アムステルダム五輪で金メダルを獲得したのち、俳優に転身して『ターザン…

フェイルノート

フェイルノート(牡3=和田道)がセントライト記念に格上挑戦。前走は500万級とはいえ強い内容。重賞でも期待。 母がアズサユミ(梓弓=春の枕詞)という典雅な名前で、姉にラルケット(弓、イタリア語)、兄にアルバレスト(弩、英語)など弓関連の名が…

メリッサ

北九州記念覇者メリッサ(牝6=佐山)が、サマースプリントシリーズのチャンプを目指してセントウルSに出走する。 Melissaは女性の名前としてもメジャーだが、もともとはギリシア神話に登場するニンフ(精霊)のひとり。養蜂を司るという。女神レイ…

ドレッドノート

小倉2歳Sに出陣するドレッドノート(牡2=佐々木)は初戦が圧巻の勝ちっぷり。重賞でも期待は大きい。 Dreadnoughtは戦艦の名前として有名だ。1906年に英国海軍によって建造され、攻撃力と速力においてそれまでの戦艦とは時代を画する存在…

ポイマンドレース、グリッターウイング(母レースウィング)

友道厩舎のポイマンドレース(牡4)、グリッターウイング(牡3)の兄弟は超堅実!2頭合わせてこれまで18戦、馬券圏内を外したのは1度だけ。馬券の軸として優秀な母レースウィングの2頭について。 先週の土曜小倉R・平尾台特別。兄ポイマンドレースは…

ポイマンドレース

平尾台特別に出走するポイマンドレース(牡4=友道)は堅実派。今回も有力だ。 母名がレースウィング(Lacewing)。息子は「レース」の音から連想した名で意味のつながりはなく、Poimandresのつづり。古代地中海世界で神秘学について書か…

ロンギングスター

レパードSに出走するロンギングスター(牡3=勢司)に注目したい。500万級を勝ったばかりだが、その前走は東京マイル1分37秒7と優秀な内容。関西馬優勢の3歳ダート界に対抗すべく現れた東の新星だ。 ロンギングスターのLongingは、動詞のlo…

ホーマンルッツ

フェニックス賞に出走するホーマンルッツ(牡2=安田)は、デビュー戦をダートで8馬身差の圧勝。芝でも期待大。 ホーマンは冠名。Lutzは人名で、オーストリア人フィギュアスケーターのアロイス・ルッツのこと。1913年に彼が考案したジャンプが「ル…

ルリニガナ

函館2歳Sに出走するルリニガナ(牝2=伊藤大)は、スニッツェル産駒らしいバリバリのスプリンター。 この馬名は花の和名で「瑠璃苦菜」と書く。キク科でチコリーに似た花は青紫色。その色をかたや「瑠璃」と表現し、一方欧州ではカタナンケ・カエルレアと…

ドリームゼニス

高千穂特別にドリームゼニス(牡4=西園)が出走する。確勝級だ。 ドリームは冠名。Zenithには「頂点」の意味がある。語源をさかのぼると14世紀のアラビア語samt ar―ra’sで、意味は「天上の道」。これの省略形samtが、あれこれ変形して1…

スズカサンバ

函館記念に登録しているスズカサンバ(牡6=伊藤圭)に注目。 Sambaはブラジルの代表的な音楽。リオデジャネイロのサンバ・カーニバルが有名だ。この馬は兄が天皇賞馬スズカマンボで、兄のMamboからの連想で名付けられたのだろう。ただし、マンボ…

シゲル出世レース

近年、冠名シゲルの馬は馬名に注目する好事家の期待を裏切らない。今年の2歳世代(2008年生まれ)は「冠名シゲル+役職名」。シャチョウ(社長)、ジュウヤク(重役)からヒラシャイン(平社員)、ペイペイ、なぜかマドギワゾク(窓際族)まで。 03年生…

バトードール

7月14日のジャパンダートダービー(大井競馬場)にバトードール(牡3=池江寿)が出航! 祖母がフェアリードール、母ビスクドールと来てバトードール。韻を踏んでおり、いかにも関連がありそうだが母や祖母のドールはdoll(人形)。一方、この馬のつづ…

シャイニングアワー

プロキオンSに出走のシャイニングアワー(牡5=羽月)について。 Shining Hourはバラの品種名。美しい黄色いバラだ。 英国の詩人アイザック・ワッツの『怠惰といたずらの戒め』に「なんとミツバチはシャイニングアワー(日が照っている時間)を…

ドリームカトラス

ドリームカトラス(牡3=佐々木)はただいま連勝中。この勢いでラジオNIKKEI賞も一刀両断か。 Dreamは馬主セゾンレースホースの冠名。夢があるね。Cutlassは「舶刀」という訳もある小ぶりな剣。父デュランダルが英雄ローランの持つ聖剣の…