モジアナフレイバー

名前からして穴っぽい大井・福永敏厩舎所属の5歳馬モジアナフレイバーがフェブラリーSに出走する。暮れの東京大賞典では3着と健闘。3月末にはドバイ遠征も控えている期待の地方馬だ。 Mogianaはブラジルの地名で、コーヒーの産地。サンパウロとミナスの…

アルメリアブルーム

遅咲き。昨年秋にオープン入りして以降、重賞戦線に打って出た6歳牝馬アルメリアブルームが京都記念に出走する。 母アルメーリヒ(Allmahlich)はドイツ語で「徐々に」、本馬はArmeria Bloomでアルメ―と頭韻は踏むが意味の関係はない。ブルームは「開花、花…

レッドヴェイロン

きょうだいでJRA重賞11勝を挙げる、母エリモピクシーの子どもたち。とりわけ東京芝マイルは一族の得意コース。レッドヴェイロン(牡5=石坂正)が東京新聞杯でトロフィーをまた一つ積み増すか。 ヴェイロン(Veyron)はフランス人のレーサー、ピエール・…

エイティーンガール

シルクロードSにエイティーンガール(牝4=飯田祐)が出走予定。eighteenは18、girlが単数形なので「18歳の少女」と解すべきか。馬は4歳だが。ともあれEighteenといえば松田聖子だろう…と書いたところで、それがどれぐらい通用するのか不安になってきた。…

シルヴェリオ

銀に見えて銀にあらず。若駒Sに出走するシルヴェリオ(牡3=池添学)だ。母シルヴァースカヤの名は、その父シルヴァーホーク(銀色の鷹)+母ブブスカヤを合成。母名と頭韻を踏むもののSilverioはSilver(銀)とは関係ない。この馬名はラテン語の人名Silve…

ヒュッゲ

京成杯のヒュッゲ(牡3=友道)に注目。日本語の促音と濁音は音結合しないため、微妙に発音しづらいこの馬名はデンマーク語。「居心地の良さを重視したライフスタイル」をHyggeと呼ぶ。キャンドルをともしたり、おいしいものを用意してリラックスする、シン…

コントレイル

ホープフルSの有力候補コントレイル(牡2=矢作)は前走東スポ杯2歳Sで1800m分44秒5のレコードで圧勝。残像が残るような末脚だった。 Contrailは「飛行機雲」の意味で、飛行機がない時代には当然なかった単語。飛行機周りの空気中の水分が排気や気圧差…

アエロリット

天皇賞(秋)で逃げて3着に頑張ったアエロリット(牝5=菊沢)が有馬記念でラストラン。Aerolitheはフランス語。「隕石(いんせき)」のこと。語源はギリシャ語でΑΗΡ(空)+ΛΙΘΟΣ(石)。フランス語は隕石を「空の石」とみた。英語の隕石はMeteorite(メ…

ビアンフェ

種牡馬キズナは父ディープインパクトの血を広げる優秀なインフルエンサーになりそうだ。朝日杯FSのビアンフェ(牡2=中竹)は全然キズナっぽくもディープっぽくもないタイプ。なのに走る。キズナはビアンフェの母であるサクラバクシンオー産駒ルシュクル…

グローリーヴェイズ

ついにグローリーヴェイズが香港ヴァーズに出走する。ヴェイズとヴァーズは同じ単語(Vase)なのだ。一般的にヴェイズが米国、ヴァーズが英国の発音という理解で問題ない。Vaseには「壺(ツボ)」と「花瓶」の意味がある。グローリーヴェイズは母がメジロ「ツ…

クリソベリル

デビュー5連勝のクリソベリルがチャンピオンズCで文字通り古馬のチャンピオン級に挑む。一気に頂点を極めるか。 この馬が出る牝系は近年の重要牝系。キャサリーンパーから広がり、多くに鉱石・貴石の名がつく。兄クリソライト、姉マリアライト、近親のダン…

ルックトゥワイス

ジャパンCに出走するルックトゥワイス(牡6=藤原英)はG1初挑戦。鞍上は世界のデットーリだ。 Look Twiceは直訳すれば「二度見する」。ふと見ていったん視線を切ってあっと思ってもう一度見る――これを「二度見」と表現するようになったのはわりと最近。…

ダイアトニック

スワンSでは「ワープする脚」を繰り出し、接戦を制したダイアトニック(牡4=安田隆)がマイルCSに臨む。1400m【5100】に対してマイル【1112】。つまり距離延長がポイントとなる。 Diatonicは「全音階の」、ドレミファソラシド――ピアノの白鍵盤…

スカーレットカラー

競馬で「スカーレット」といえば、スカーレットインクから広がるダイワメジャー、ダイワスカーレット、ヴァーミリアンらの一族のイメージ。エリザベス女王杯のスカーレットカラーは…その一族と血縁関係はない。 Scarlet Colorは色の名前。緋色(ひいろ)に近…

米国地名馬券

ファンタジーS出走予定のケープコッドは、東海岸マサチューセッツ州東端の半島の名。1602年に英国の探検家ゴズノルドが名づけた。半島の沖合がタラ(cod)の漁場だったことからCape Cod(タラ岬)としたようだ。鞍上は吉田隼。よしだ…よっちゃん、タラ…渋野…

ユーキャンスマイル

You can smile.JRA公式における馬名の意味由来では「笑ってごらん」とあって、確かにそうなのだけど、そのフレーズが出るシチュエーションは想像をたくましくさせる。たとえば泣いてる子どもを相手に。「泣かないで、笑ってごらん」。失敗して打ちひしが…

レッドアネモス

秋華賞に出走するレッドアネモス(牝3=友道)の馬名は冠名+ギリシャ語ΑΝΕΜΟΣ(風)。これは母マチカネハヤテ(疾風)から風を引き継いだ命名となろう。その母マチカネハヤテが現役だったのは10年ほど前だが、芝1200mで5勝の活躍。驚くべきは勝利時の人…

ソットサス

ジョッケクルブ賞(仏ダービー)を制して、ニエル賞を完勝したソットサス(牡3=JCルジェ)はフランス3歳牡馬のエース。凱旋門賞でも地元の期待を集める。 ひたひたっと忍び寄って名のごとく「そっと差す」ではなく、仏ダービーはペルシアンキングの捲り…

ディアンドル

伝統衣装は必ずしも何百年の歴史があるわけではない。ドイツ・ミュンヘンで開催される世界最大規模のお祭り「オクトーバーフェスト」などでバイエルンの女性が着る、襟ぐりが深くデコルテを広く取ったブラウスとエプロンスカート。元は「アルプスの少女ハイ…

ミッキースワロー

1年の同じ時期に、同じ場所で好走する馬を狙う馬券術を筆者は「ミグラント(渡り鳥)馬券」と呼んでいる。渡り鳥は遠くに旅しても、似たような時期に同じ場所に帰る帰巣本能があることになぞらえたもの。 ツバメ(Swallow)も渡り鳥だ。つまりオールカマーに…

マグナグリーシア

紀元前7世紀ごろの古代ギリシャでは、人口の増加に伴って現在のイタリア南部やシチリア島へ多くの人が移動、植民した。元のギリシャ本貫を「小ギリシャ」、植民した地域は「大ギリシャ」とされ、後者は古代ローマでMagna Graecia(マグナグラエキア、ラテン…

ミスターメロディ・モーニン

今年のセントウルSはジャジーだ。ミスターメロディとモーニン、ジャズ曲名のG1馬2頭が登録。「ミスター・メロディ」はナタリー・コールが1976年にリリース。東京音楽祭でグランプリを受賞して、日本でもヒットした。「モーニン」はアート・ブレイキーが5…

マイネルグリット

小倉2歳Sのマイネルグリット(牡2=吉田)に注目。Gritの第一義は「砂粒、固い粒」。ほかに「粗さ」や「粗びきの穀物」の意味もあるが、この馬名においては口語の「(困難な状況での)勇気、やる気、決心」。小倉2歳Sを制した祖母コスモヴァレンチのVal…

英国際S

英インターナショナルSに出走するエラーカムは馬主がシェイク・ハムダン。この馬名はアラビア語で、たぶん「数字」だと思う。父フランケル(G1・10勝)、母アトラクション(G1・5勝)と派手な数字が並ぶベストトゥベストな配合。キングオブコメディは…

フィエールマン

今年の札幌記念は凱旋門賞への壮行レース。といっても、遠征を予定している馬が好走してこそだが。そんな1頭、フィエールマン(牡4=手塚)は父ディープインパクト(凱旋門賞3着入線のち失格)、母リュヌドール(フランス産)、鞍上ルメール(フランス人…

トミケンキルカス

先日の小倉記念は猛暑のなかメールドグラース(フランス語で「氷の海」)という涼しげな馬名が勝った。サマー重賞では、せめて馬名に涼を求める戦略でいきたい。関屋記念も暑い。トミケンキルカス(牡7=大和田)だ。 冠名トミケンは馬名にマイナー諸語をつ…

小倉記念・氷トリプル

小倉記念はナツコク(夏の小倉開催)名物重賞であり、年によってはその暑さたるや筆舌に尽くしがたいレースの一つだが、めっぽう涼やかな馬名の3頭がエントリーしてきた。 アイスストーム(Ice Srorm=氷の嵐)…冬に吹く氷晶雨(雲の中で作られた氷の結晶を…

ヴァルトガイスト

英国アスコットのキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに、フランスからヴァルトガイスト(牡5=ファーブル)が遠征する。ハーツクライが3着した06年ハリケーンラン以来のフランス馬によるKGQES制覇を目指す。 母は英国産ながら、さかのぼると代…

パフェムリ

函館2歳S出走のパフェムリ(牝2=岡田)は「甘いものが苦手でパフェは無理」にしか見えないが、そうではない。この馬名はフランス語のParfumerieで、母タイヨウパフューム(Perfume=香水)からの連想。「香水専門店」の意味。「パフューメリー」とした方…

ミューチャリー

帝王賞ではチュウワウィザードをプッシュして2着。ジャパンダートダービーでは、取り上げる機会が少ない地方馬のミューチャリー(牡3=船橋・矢野義)を◎として、この馬名について解説する。 Mutuallyの意味は「相互に、互恵的に」。競馬ほかギャンブルの…