ダーリントンホール

 共同通信杯の勝ち馬ダーリントンホール(牡3=木村)が、皐月賞で気になる。この馬名は文学に由来する。ノーベル文学賞作家のサー・カズオ・イシグロに「日の名残り」という英国貴族邸の執事が語り部となる89年の作品がある。93年にはアンソニー・ホプキンス主演で映画化もされた。執事の働く邸宅が、執事の前の主人がダーリントン卿であったことから「ダーリントンホール」。小説では執事の元に手紙が届いて、その差出人は以前、邸宅で共に働いていたベン夫人。昔、互いに意識しながら結ばれなかった彼女は旧姓がケントン。未婚の時はミスケントンで、馬のダーリントンホールは母の名がミスケントンなのだ。