ハートランドヒリュ 2003年5月28日スポニチ(関西版)

 スズカルパンが2月15日の松籟Sで99戦目。ハートランドヒリュ以来のJRA100戦到達まであと1戦。というわけでハートランドヒリュ、85戦目当時の記事。

 

 最後方ポツン、直線猛然と…。届くかどうか?届かない方が多い【4・9・8・64】が、その追い込みはひたむきだ。関西1000万芝と言えばハートランドヒリュ(牡7=清水久)。ただ今85戦、ますます元気。
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 先ごろ引退した1000万ダートの主ナカトップトウコウもそうだが、この厩舎は味のある差し馬を輩出してきた。イソノウイナー、オースミレパード…。
 「逃げ馬はバタバタになるまで走らなければならない。その点で差し馬の方が長持ち。そんなタイプが好みだな。この馬の場合はとにかくタフなのもあるが」と清水久師が言う。デビュー以来、2カ月以上休むことなく4年半。2歳2戦、3歳19戦、4歳20戦、5歳16戦、6歳19戦、7歳の今年9戦なお継続中。
 「入厩当時に少しアクシデントがあったが、それ以来コレと言う不安がない。たいしたもんだ。100戦を目指したいな」
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 後方でじっくりと脚をタメる姿が印象的。おとなしい馬かと思ったら、以前はうるさく森茂助手を振り落とすこともあったそうだ。
 森助手は「5歳ぐらいからかな。ようやく落ち着きが出てきた」という。
 主戦の菊沢仁も「結構、がっちり抑えて脚をタメてますよ。うまく折り合うといい脚を使う」と実戦での戦術を明かす。
 「少々負け続けていてもポンと来る。距離とか関係なく、流れが速くなって展開向けば」が陣営の一致した見解。馬券的には難儀なタイプだが、来れば好配。100戦まであと15戦。がっつかずじっくりと、暖かく見守ることとしよう。
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 大レースの勝利をみやげに若くして種牡馬入り。それがサラブレッドの花道だろう。しかし細く長く戦う競走馬もいいではないか。
 「最後方からハートランドヒリュです…」
 この決まり文句を聞くと安心する。きょうも平和だと。直線向いて追い込むハートランドヒリュ。届けばうれしいが、届かなくても応援したくなる。いつも殺伐としている馬券好きのオアシス。それがハートウォーミングな競走馬ハートランドヒリュだ。