ウインマリリン
種牡馬スクリーンヒーローは自身の名が祖母ダイナアクトレス、母ランニングヒロインから銀幕・俳優の系譜を受け継ぐとともに、産駒がその枝葉を広げる。代表産駒のモーリス(映画の題名)、ゴールドアクターがそうだし、アメリカジョッキーズクラブカップの紅一点ウインマリリン(牝4=手塚)は映画俳優にして、20世紀大衆文化における最大の偶像マリリン・モンローの名をいただいている。マリリンはメアリの派生名で聖人「マグダラのマリア(Maria Magdalena)」を想起させる名のようだ。その語源は定かでないものの「恨みの海」「反逆」という物騒なものがある一方、エジプト経由なら「最愛の人」「愛」となるらしい。何にせよ主役級の名だ。
アドマイヤビルゴ
生命保険会社が発表している名前ランキングで、男子名19年1位「蓮(れん)」、20年1位「蒼」。蒼は「そう」だけでなく「あおい」や「そら」と読む場合もある。いずれも女子名でもそれほど違和感はなく、ユニセックスな名前が上位だ。そんな流れの馬名が日経新春杯のアドマイヤビルゴ(牡4=友道)。Virgoは英語の「おとめ座」で、男女関係ないと言えばないが、元をたどればラテン語「未婚の女性」。Mariam, Matrm Virginem(Virgoの対格)=「処女聖母マリア」という宗教歌があるぐらいだ。ビルゴは430キロ台ときゃしゃで牝馬っぽさもある。新雪をバージンスノーと言ったりするし、「新春」と相性は良さげだ。
カレンブーケドール
「花言葉」は18世紀前半、トルコ駐在の英国大使夫人メアリー・ウォートリー・モンタギューが英国にもたらした。彼女はbouquet(花束)というフランス語も紹介、花束のプレゼントが流行した――。有馬記念カレンブーケドール(牝4=国枝)にちなんでそんなトリビアを紹介。馬名は冠名+フランス語「金の花束」。重賞【0ー5ー1ー2】、G1【0ー3ー0ー1】と銀メダルづくが、その名にフランス語「金の」を意味するd'orが入っている。有馬で艮(うしとら=深夜から夜明けの時間帯)を脱して、日の出(母ソラリアの名は「日光浴室」の意味がある)とともに金メダルを得よう。彼女には花言葉「勝利」のグラジオラスのブーケを贈りたい。